不登校になって、 病院で「起立性調節障害」と診断されて、 薬を飲み始めた。
飲んでいると少し良くなる日もある。 でも、また悪くなる日もある。
「このまま薬ばかりに頼っていていいのかな…」 そんなふうに思ったこと、ありませんか。
「薬を飲み続けて、本当に大丈夫なんだろうか」 そんな不安を抱えたまま、 私のところに相談に来てくださる方も少なくありません。
不登校のお子さんを持つ保護者の方からは、 「不登校 問題」として学校や病院に相談しても、 なかなか根本的な解決策が見つからないというお話をよく伺います。
でも、誤解しないでほしいのですが、 私は「薬がダメ」だと言いたいわけではありません。 必要な薬は、これからもきちんと使ってほしい。 それは大前提です。
ただ、薬という「症状を抑える手段」だけを見て、 その子の体そのものを見ないまま過ごしてしまうのは、 とてももったいないことだと感じています。
朝、目は覚めるけど起きれない。 体がだるくて、布団から出られない。 少し動くだけで疲れてしまう。 頭が痛い。 お腹がすかない、食欲がわかない。 なんとなく不安が強くて、学校のことを考えるだけでしんどくなる。
こうした症状は、 起立性調節障害という診断名だけでは説明しきれないことが、実はたくさんあります。
「目は覚めるけど起きれない」というのは、 本人にとっても、周りの家族にとっても、 本当につらく、もどかしいものです。 「怠けているわけじゃないのに、なぜ起きられないんだろう」 「やる気がないわけじゃないのに、体が動かない」 そんな苦しさを、繰り返し聞いてきました。
そこで私が大切にしているのが、 分子栄養学の視点から体を見ていくということです。
分子栄養学というと、 少し難しく聞こえるかもしれません。 でも、やっていることはとてもシンプルです。 「その子の体の中で、今どんなことが起きているのか」を、 血液データや日々の食事、生活の様子から丁寧に読み解いていく。 それだけです。
具体的には、こんな視点で一つひとつ見ていきます。
・毎日、ちゃんと食事は食べられているか ・体を作るために必要なタンパク質は足りているか ・エネルギー代謝に欠かせない鉄は不足していないか ・自律神経やエネルギー産生に関わるビタミンB群は十分か ・血糖値の乱高下が、だるさや不安感を強めていないか ・腸内環境は整っていて、栄養をしっかり吸収できているか ・睡眠の質は保たれているか ・そもそも、食べたものを消化・吸収できる体の状態にあるか
こうして見ていくと、 「起立性調節障害」や「不登校」というひとつの言葉ではくくれない、 その子ならではの体の状態が見えてきます。
たとえば、鉄が不足していれば、 酸素をうまく体中に運べず、 朝起きるためのエネルギーが作れません。 「目は覚めるけど起きれない」という状態は、 体が本当に「起き上がるためのエネルギーを作れていない」 サインであることも少なくないのです。
血糖値が不安定であれば、 気持ちの浮き沈みが激しくなったり、 急に不安が強くなったりすることもあります。 これは、本人の性格や気持ちの問題ではなく、 体の中で起きている生理的な反応であることも多いのです。
腸の状態が整っていなければ、 どんなに栄養のあるものを食べても、 体にきちんと吸収されず、 栄養が足りないまま過ごすことになってしまいます。
薬は、 今起きているつらい症状をコントロールするための、 とても大切な選択肢のひとつです。 一方で、栄養は、 その体が本来の力を発揮するための「土台」です。
どちらか一方だけを選ぶ必要はありません。 薬は薬として、必要な間はしっかり使う。 そして同時に、 食事や栄養という体の土台も、 少しずつ整えていく。
私は、この両方を並行して見ていくことが、 不登校の問題に向き合ううえでとても大切だと感じています。
「薬をきちんと飲んでいるのに、なかなか元気にならない」 「病院にも通っているのに、状態があまり変わらない」 もし今、そんなふうに感じているとしたら、 それは、あなたやお子さんの頑張りが足りないからではありません。
薬をやめる、やめないを考える前に、 一度立ち止まって、 「他にできることはないだろうか」と、 体全体に目を向けてみてほしいのです。
不登校の解決策は、 決してひとつではありません。 学校との関わり方、心のケア、環境の調整。 そのどれもが大切ですが、 その土台となる「体づくり」の視点が抜け落ちてしまうと、 どんなに他の対策を積み重ねても、 うまくいかないことがあります。
分子栄養学は、 不登校という「問題」そのものを 魔法のように一瞬で解決してくれるものではありません。 けれど、 「なぜ朝起きられないのか」 「なぜこんなに疲れやすいのか」 「なぜ気持ちが不安定になりやすいのか」 その理由を、体の中の仕組みから丁寧にひもといていく、 確かな手がかりになります。
不登校で悩んでいるご本人や、 そのご家族。 そして、「なんとなく調子が悪い」という はっきりしない不調に悩んでいる方にも、 この考え方が届いてほしいと思っています。
薬に頼るだけでも、 気合いや根性だけで乗り越えようとするだけでもなく、 栄養という体の土台から、 不登校を乗り越えていくための力を育てていく。
私はこれからも、 分子栄養学の視点から、 不登校や不調と向き合うご家族の力になれるよう、 体づくりの土台についての発信を続けていきます。
ここで、実際によくご相談いただくケースを 少しご紹介したいと思います。
ある中学生のお子さんは、 起立性調節障害と診断され、 薬を飲みながら通院を続けていました。 それでも「目は覚めるけど起きれない」状態が続き、 午前中はほとんど布団の中。 本人も「学校に行きたい気持ちはあるのに、体が動かない」 と、もどかしさを抱えていました。
お話を伺うと、 朝食はほとんど食べられておらず、 昼と夜も炭水化物中心の食事に偏っていました。 血液データを詳しく見てみると、 一般的な健康診断の基準値では 「異常なし」とされる範囲であっても、 分子栄養学の視点で見ると、 鉄やタンパク質、ビタミンB群が 明らかに不足しているサインが見えてきました。
これは、決して珍しいケースではありません。 一般的な血液検査の基準値は、 あくまで「病気かどうか」を判断するための目安であり、 「元気に活動できる状態かどうか」を 示すものではないからです。 ここに、不登校の問題を考えるうえでの 大きな見落としがあると、私は感じています。
そこで、まずは無理のない範囲から、 食事の内容を一緒に見直していきました。 朝は少量でもタンパク質を意識して摂る。 間食に甘いものだけでなく、 血糖値が安定しやすい食材を取り入れる。 鉄分を意識したメニューを増やす。 消化に負担がかかりすぎないよう、 食べる量やタイミングも調整する。
こうした小さな積み重ねを数か月続けるうちに、 少しずつ朝起きられる時間が早まり、 「今日は少し体が軽い」と感じる日が 増えていったそうです。
もちろん、栄養を整えたからといって、 すぐにすべてが解決するわけではありません。 学校との関係や、本人の気持ち、 家庭内での関わり方など、 不登校の問題には、いくつもの要因が 複雑に絡み合っています。
だからこそ、 「薬か、栄養か」「心か、体か」という どちらか一方を選ぶ考え方ではなく、 必要な薬は使いながら、 心のケアも大切にしながら、 同時に体の土台となる栄養も整えていく。 そうした、いくつもの視点を組み合わせた 不登校の解決策を、 一緒に探していくことが大切だと感じています。
「うちの子も、目は覚めるけど起きれない状態が続いている」 「薬を飲んでいるのに、なかなか良くならない」 「不登校 問題として、学校や病院には相談したけれど、 具体的な解決策が見えてこない」
もし、そんなふうに感じていらっしゃるなら、 一度、お子さんの食事や生活のリズム、 体の状態そのものに目を向けてみてください。
分子栄養学は、 特別な人だけのための難しい知識ではありません。 日々の食事や生活習慣という、 誰にでも関わりのある身近なところから、 体の仕組みを理解し、 整えていくための実践的な考え方です。
薬に頼るだけでも、 根性や気合いだけで乗り越えようとするだけでもなく、 栄養という体の土台からアプローチすることで、 見えてくる不登校の解決策があります。
私はこれからも、 分子栄養学の視点から、 不登校や、なんとなくの不調と向き合う ご本人やご家族に寄り添いながら、 体づくりの土台についての発信を続けていきます。
もし今、 「目は覚めるけど起きれない」 「薬を飲んでいるのに元気にならない」 そんな悩みを抱えているなら、 どうか一人で抱え込まないでください。 体の中で今何が起きているのかを一緒に紐解いていくことで、 きっと次の一歩につながるヒントが見つかるはずです。
不登校という状況は、 本人にとっても、ご家族にとっても、 出口の見えないトンネルのように感じられることがあると思います。 でも、体の状態を一つひとつ丁寧に整えていくことは、 遠回りのようで、実は着実な解決策につながる道でもあります。
薬という選択肢を大切にしながら、 分子栄養学という視点から体の土台を見直していく。 そのふたつを組み合わせることで、 これまで見えていなかった変化が 少しずつ生まれてくることを、 私はこれまで多くのご家族と共に見てきました。
焦らなくて大丈夫です。 今日、明日ですぐに変わるものではありません。 けれど、体は必ず食べたものからできています。 だからこそ、 食事や栄養という毎日の積み重ねは、 未来の体調を変えていく確かな力になります。
「不登校 解決策」を探す旅の途中で、 このお話が、少しでも心の支えになれば嬉しいです。




